活動内容
ベトナムフーカット医療センターにてBSケアセミナーをオンライン開催した(2022年5月9日、2022年5月13日)
ベトナム国ビンディン省フーカット県の低体重児の発育改善を目的とした母子保健従事者対象研修会として、BSケアセミナーを令和4年5月9日(月)、13日(金)にZoomによりオンラインで開催した。
講師は、NPO法人BSケア理事長の寺田恵子先生(めぐみ助産院院長)とNPO法人BSケア監事の浅野美智留先生(聖マリア学院大学 准教授・青年海外協力隊OBセネガル助産師)にお願いした。
セミナー受講者の到達目標は「低体重児の発育改善のためには、母乳育児が重要である」ことを認識してもらうために、具体的には以下の内容について研修した。
1.母乳育児の恩恵を低体重児が得るために、母乳育児を希望する母親の気持ちに寄り添いながら支援ができる。
1)産後の母親の心理や、家庭・経済状態、子どもの健康促進の考えを知ることができる。
①ダイオキシン類摂取を回避するよりも母乳育児を行うメリットがある
②働きながら母乳育児を継続する
2)セルフケアの教育
①妊娠中の教育(母乳育児がうまくいくための10のステップ:WHO/UNICEF)
②産後早期
・陥没乳頭でも吸着することができる 。
・ベトナム保健省政府が推進している生後1時間以内の授乳(90%実施というデータがある)ができなかった場合、suckling(児の母乳吸てつ)をまねて指を動かして乳頭刺激ができる。
・sucklingをまねて指を動かすと、母乳育児のための10のステップで勧めている頻回授乳と同じ原理で、分泌を早く確保し、量を増やすことができる。
・搾母乳の提供方法
③仕事中の乳房のセルフケアと搾母乳
3)直接授乳の支援 (低出生体重児の直接授乳開始時の支援)
①吸着しやすい乳首のためのケア(陥没乳頭に準ずる)
②赤ちゃんの抱き方や含ませ方(ラッチオン)の情報提供
③直接授乳の準備:低出生体重児は哺乳瓶で人工乳を飲んでいることが多いので、直接授乳を開始する時の支援が必要であれば、ご説明する。
2.母乳育児による母子の絆を基盤として、母乳育児が6か月以上(可能であれば長期)は継続できるように、見守り支援ができる。
3.ダイオキシン類は脂肪内に存在し、授乳によって脂肪組織が消耗するため、第二子、第三子と母乳内のダイオキシン類は減少する。第一子の時に、搾乳をして減らすことも一助となる。
講義時間は、ベトナムの社会状況やフーカット県のニーズにあわせて以下のように構成した。
9:30~12:30(日本時間)
9:30~10:30 BSケアの基本の考え方
10:40~11:40 BSケアの理論
11:50~12:30 BSケアの実技(編集済み動画配信+カメラで映す)&セルフケア解説
15:00~15:40 模型を用いた実践練習
15:40~16:10 お母さんへのセルフケアと赤ちゃん人形を用いたBSケアの実践練習
16:10~16:40 BSケアの実践例
16:40~質疑応答 及びまとめ
両日でPhu Cat医療センター並びに18のコミューンヘルスセンタの産婦人科医・小児科医・助産師・看護師47名が受講した。また、日本より事前に送った「乳房模型」を各参加者が用いて実技演習が行われた。
参加者からの感想は今後の医療活動に生かせる有用な技能が学べたと好評を得た。
研修会の様子(2022年5月9日)
研修会の様子(2022年5月13日)