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事業紹介

事業の背景と必要性

ベトナム戦争中に撒布された枯葉剤に含有されていたダイオキシンによる影響が40年以上経過した今日でも認められることを、我々の金沢大学グループはこれまでのベトナムの関係機関との共同研究において明らかにしてきた。具体的には、枯葉剤濃厚汚染地区の母親58名の母乳は対照地区に比べて平均3-5倍のダイオキシン濃度であること、また、母親や幼児のステロイドホルモンにも影響を与え、低体重出生児が12%(対照地区4%)と高率であり、この事実を県地域医療スタッフと共有するとともに地域の低体重児の発育を改善することが必要である。
プロジェクト目標:ベトナム国ビンディン省フーカット県において、ダイオキシンの影響を踏まえた母子保健活動が自立的かつ継続的に実施される。

生み出すべきアウトプット及び活動

アウトプット

  1. フーカット県人民委員会保健局、フーカット県立医療センター、ハノイ医科大学枯葉剤健康被害対策委員会(10-80委員会)、ダイオキシン研究所、ベトナム国家大学との間で、プロジェクトの実施・調整のための連携体制が整う。
  2. フーカット県立医療センターとダイオキシン研究所やベトナム国家大学が連携して実施する健診及び検査を通して、ダイオキシン濃度の高い母乳を飲んでいる低体重児やステロイドホルモンの異常を示す乳幼児が特定される。
  3. 枯葉剤の健康被害の実情を理解し、対策方法を指導できる地域医療スタッフ(医師、看護師、保健スタッフ等)が育成される。
  4. 健診の結果を踏まえ、介入が必要な母子に早期離乳指導や栄養指導が行われる。

活動

  1. フーカット県人民委員会保健局、フーカット県立医療センター、ハノイ医科大学10-80委員会、ダイオキシン研究所、ベトナム国家大学との間で合同調整委員会及び担当者会議を定期的に行う。
  2. 唾液・母乳等の生体試料中のホルモンやダイオキシンの精密分析を行うための教材を作成する。ダイオキシン研究所やベトナム国家大学等のスタッフを対象に、ホルモンやダイオキシンの精密分析の技術研修を本邦及び現地で実施する。フーカット県において、県立医療センターが乳児とその母親を対象とした健診を行う(乳児の身長、体重、頭囲、胸囲及び母親への問診)。県立医療センターとダイオキシン研究所、ベトナム国家大学が連携して乳児の唾液中ホルモンや母乳中のダイオキシン等を検査する。
  3. フーカット県の地域医療スタッフ(医師、看護師、保健スタッフ等)がダイオキシンの健康被害や対策を習得するための教材を作成する。ホルモン及びダイオキシン検査の結果を踏まえ、地域医療スタッフ(医師、看護師、保健スタッフ等)を対象にダイオキシンの健康影響と早期の離乳促進や栄養指導による母子の健康促進につながる研修を行う。
  4. 研修を受けた地域医療スタッフが、対象母子に対し、早期離乳指導や栄養指導の講習会を実施する。地域医療スタッフが対象母子に対し個別に早期離乳指導や栄養指導を実施する。

実施期間

2019年8月〜2023年1月(3年6ヵ月)〔予定〕

事業の実施体制

プロジェクトマネージャー

城戸照彦 金沢大学客員教授・公衆衛生専門医

CP機関

Phu Cat県人民委員会保健局

母子保健活動実施機関

Phu Cat 県立医療センター、ホルモン、ダイオキシン類等測定機関:天然資源・環境省ダイオキシン研究所、ベトナム国家大学

協力機関

ハノイ医科大学10-80委員会

JICA草の根技術協力事業、本提案事業の概要

https://www.jica.go.jp/partner/kusanone/partner/vie_27.html

金沢大学
医薬保健学域保健学類
JICA事務局

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